Public Transit in Mexico City, 2015

Demographia World Urban Areas & Population Projections (2019)によれば,Mexico City都市圏の人口は約2040万人で,世界10位の大都市圏である。標高2,250mの高地にある盆地であるため,大気汚染が深刻な問題となっていて,その意味でも公共交通の役割は大きい。地下鉄・LRT・トロリーバス・BRT・郊外鉄道が運行されているが,民営の郊外鉄道(Tren Suburbano)以外についても,運営主体は3社に分割されている。以下に各モードの運営主体と路線図をまとめるが,公営の3社についてはICカード乗車券は共通利用が可能である。ただし路面交通の運営主体を燃料で仕分けし,EVならタクシーもSTE(電気交通サービス)に運営させる等,些か恣意的に見える。
運営主体路線図
Sistema de Transporte Colectivo (STC)Metro
Servicio de Transportes Eléctricos (STE)LRT/Trolebús
MetrobúsBRT
Ferrocarriles SuburbanosTren Suburbano

Mexico Cityメトロは1969年開業と遅いが,2015年時点で12路線200kmを営業し,北米大陸ではNYCに次ぐ規模を誇る。写真のB号線Garibaldi/ Lagunilla駅のMP-68形009番編成に見るように,大半の路線はParisやMontréalと同様のゴムタイヤ走行である。 最新の12号線は,A号線と共に架線集電・鉄輪走行が採用されている。Zapata駅に停車中のFE-10形60番編成だが,メトロのシンボルカラーである橙色は維持されている。
メトロ2号線の南端,Tasqueña駅に到着するBombardier製NM-02形9連。左には当駅で接続するXochimilco行LRTの架線柱が見え,右にはこの路線の車両基地がある。 メトロ2号線Tasqueña駅とXochimilcoを結ぶ"Tren Ligero"は,LRTとして現存する唯一の路線。Mexico Cityの路面電車は1979年に全廃されたが,旧54系統は大部分が専用軌道であったため,荒川線と同様の事情で存続が決定した。写真は起点のTasqueña駅に停車中の2車体連節車029号。
旧54系統は,路線改良のための運休期間を経て1986年に再開された。写真はEstadio Azteca駅に隣接する車両基地だが,当駅から分岐してTlalpanへ向かう旧53系統は,線内シャトル便として運行再開したものの,92年10月を最後に休止状態が続く。 終点のXochimilco駅で出発を待つ025号。Xochimilco駅は3面2線の頭端駅で,ホーム全体を覆う切妻屋根も何処となく北野白梅町駅に似た雰囲気。
トロリーバスは2018年時点で,8箇系統203.6kmが運転されている。写真は「三文化広場」(Plaza de las Tres Culturas)前のEje Centralを南行するA系統だが,車番は不明。 Palacio de Bellas Artes前のEje Centralを北行するA系統9720号車。Eje Centralは唯一の南北基幹路線で,Zero Emission Corridorに指定される。そのため北行の一方通行路だが,トロリーバス用の逆走レーンが設定されている。
中南米のBRTはBogotaが先鞭を付けたが,Mexico Cityでは最初の路線が2005年に開業し,撮影時点には5路線が運行していた。写真は1号線Perisur駅に停車中の3連節バス。全て島式ホームのため,右側通行ながら乗降扉は左側のみ。 2018年までにMetrobúsは7路線に増えた。そのうち空港とBuenavista駅を結ぶ4号線と,最新の7号線は路側走行のため,通常の右ドア車が使用される。写真はLas Cruces停留所で客扱いをする4号線南ルートのハイブリッド車。
Mexico Cityの中央駅に相当するBuenavista駅。北郊へ延びる"Tren Suburbano" のターミナル駅に留まるが,かつては12線を擁する大駅だった。現在は都市間列車の発着は無く,5面4線の頭端ホームに延長27kmの1路線が発着するのみ。しかし将来的には,郊外電車を3路線・総延長242kmまで拡張する計画がある。 Buenavista駅のfaçade。写真からは閑散とした印象を受けるが,メトロB号線やBRT 1-3-4号線のアクセスもあり,2012年に開業したショッピングモールは都心型商業施設として成功を収めている。
(6/26/2015; Rev.7/28/2019)