Verkehrsmuseum Remise

Wienの路面軌道は,1865年の馬車軌道に始まり,97年から電気運転が開始されたが,その後も蒸気動力が1922年に至るまで併用されていた。かつての営業キロは200kmを超えていたが,地下鉄開通等により路線は縮小気味とは言え,2013年時点で28系統,176.9kmに及ぶ軌道を運営しており,世界最大級の路面電車都市の一つに数えられる。ドイツ語でCoach Houseを意味するRemiseは,1990年1月に用途廃止となった旧Erdberg車庫の跡地に,2014年9月13日に開設された。通常の開館は水・土・日の週3日に限られるため,訪問は日程的に容易とは言えないが,併設のミュージアムショップは毎日営業している。(Photographed in Feb. 2020.)


Remise最寄り停留場,Schlachthausgasseのループ線で待機する18系統4312号2車体連接車+トレーラー。 Erdberg車庫は運行には必要とされないが,現在も軌道は繋がっていて車両の搬出入が可能だ。門扉左のレンガ建がミュージアムショップになっている。
中央は馬車軌道時代の客車53号,右は1869年に開始された蒸気運転の機関車11号,左は1401号。 "Amerikaner"と呼ばれた1939年製の4208号。New Yorkの中古車を50年に購入し69年まで運用。右後方は「戦時車」2号だが,実際の運用は戦後になった。
2車体連接車746号。31-5系統とも現存するが,その連続運行はありそうにないから,31/5系統は31系統の亜系統を意味するのだろうか? ボギー車141号が付随車1241号を牽引する。これも現存する46系統を表示するが,車両番号の末尾2桁は組合せが決まっていたのだろうか?
電動車と付随車の連結状況。電動車は576号だが,付随車の車号は見えない。 WienのStadtbahnは,Berlinの高架鉄道とは異なり,専用軌道を走る(塗色の異なる)路面電車の風情だった。地下鉄4号線・6号線等に転換され,89年までに路面電車クラスの車両の運転は無くなった。
壁面には軌道用信号機も展示されている。 こちらは屋上行灯用の系統板と方向板の展示。亜系統の表示に苦労した様子が窺われる。Kは"kurz"の頭文字なので,BKはB系統の短縮系統だろうか。
工事用車両も展示されている。手前は電動貨車6112号に牽引されるレール運搬台車,後方は2380号に牽引される無蓋車7059号。 屋外展示車両は交換されるが,この時は電動貨車6408号が引出されていた。その奥に見える円形の展示物はシールドマシンの刃。
地下鉄Type U(1972年導入の"Silberpfeil")2022号がシミュレータとして展示されている。この系列の更新車は今も現役。 敷地南端の建屋壁面には,Tokioを含む各国の都市交通が紹介されている。折返し渡り線は右側通行用だが,オーストリアは38年まで左側通行だった。
(6/26/2024)