Wien市電の営業キロは嘗て200kmを超えていたが,地下鉄開通等により路線は縮小気味とは言え,2013年時点で28系統,176.9kmに及ぶ軌道を運営しており,世界最大級の路面電車都市の1つに数えられる。WienのRing (Ringstraße=環状道路)は,19世紀後半にローマ時代の市壁を撤去して建設され,市電の路線網はRingをhubとし,外縁部へspokesが延びる形態を採る。札幌の環状化でも採用された両側走行の軌道が特徴的で,かつてRing経由系統の多くがアルファベットを名乗った記憶があるが,今はNußdorfとHauptbahnhof Ost(中央駅東)を結ぶD系統が残るのみ。このページではRingとその周辺の市電系統を紹介する。(Photographed in Sept. 2014 and Feb. 2020.)
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1995年に試作車が導入されたSiemens製のULF(=Ultra Low Floor)車。2タイプあって,写真のVolkstheater前を行く1系統771号は,5車体6台車の35m車で,2015年までに201本が導入された。高さ220mmの全低床構造のため,屋根に跨る門型台車が両側に1軸の独立輪を持つ構造。35m車のモーターは,中間4台車の車体間隔壁の中に下向きに装架される。 | 写真はDr.Karl Renner Ringを折返す46系統19号。3車体4台車の24m車は131本導入され,中間2台車にモーターを装荷する。ULF車は前後同じデザインで,両運車に見えるが,片側のみに扉を持つ片運車。2タイプのULF車大量導入は,Wien市電から旧来の高床車を駆逐しつつある。当所で折返す46-49系統を含め,多くのspoke系統はRingに入らない。 |
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Dr.Karl RennerのRing側停留場(外回り)に,71系統が接近する。国会を背に,Type E2と呼ばれる2車体連接車4077号がトレーラー1477号を牽く。Ringstraßeは,自動車は内回り一方通行で運用されている。 | 同じ停留場(内回り)に停車する2系統4792号。今の基準で言えば,ステップ3段の高床車はバリアフリーには程遠く,淘汰される運命。 |
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Schottentorのループ線は2層構造になっていて,地下ループ線では37-38-40-41-42の5箇系統が折返す。写真は地下ループ線の42系統25号。 | 地上ループ線では,43-44系統が折返す。ループ線はRingの外側に在り,地上部はRingの外回り停留場とホームを共用する。写真は43系統752号。 |
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SchottentorのRing側停留場(外回り)に,2車体連接車4001号がトレーラを引くD系統の旧型車が到着し,対岸を71系統の5車体連接車620号が行く。 | Kärntner Ring, Oper停留場で折返し待ちの62系統107号だが,奥にもう1本,市電とは異なる塗色の電車が見える。 |
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Kärntner Ring, Operの側線は複線で,Ring寄りにはWien Localbahn (WLB)の郊外電車が待機する。写真はWLBの3車体連接車123号(奥)+406号(手前)の重連で,右はRing外回りの2系統4031号。 | WLBは折返し後,暫くは市電1-62系統と並走する。低床車411号が高床車を従えてWiedner-HauptstraßeをBadenに向かう。WLBは高床車を低床車と組合せることで,移動制約者に配慮している。 |
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Doaukanalに架かる2つの橋に挟まれたSchwedenplatzは,地下鉄U1-U4線との乗換駅でもあるRing上の要衝で,軌道は4線に分かれる。写真は1系統603号で,島式ホームに見えるが,扉は片側のため右側は使用されない。 | Schwedenplatz電停の内回り線を東から見る。停車中のPrater行1系統のトレーラー1416号(右)と黄色のRing Tram(左)の後ろ姿。Ringを周回するためには,別料金のRing Tram(観光市電)を使う必要がある。 |