熊本市電の車両感知信号 Trolley Contactors of Kumamoto City Trams | |
熊本市電系統図 (1968.2-70.4) |
「信号ウオッチング」のページで話題になった熊本市電の十字を現示する信号灯の作動機序を,辛島町近辺を例にまとめます。
熊本市電は広島・松山と同様に,旧都電タイプの,コンタクタを連続して叩くか否かによって進路が設定されるシステムです。
辛島町の折返しポイント前後のトロリーコンタクタ(一部)の配置図(下が北)
大まかに言って,図中赤で表示されるコンタクタは信号灯を点灯させ,青で表示されるコンタクタは滅灯させる。①と④の位置には,連続して2個コンタクタが設置されているが,これは電車の進行方向を感知する必要があるためである。それでは進行方向・系統別に作動機序を説明する。
①のコンタクタと②のコンタクタ(白↓の位置)の中間位置で待機する3系統8202号。 | 交差点手前の停止位置は②のコンタクタの通過直後になる。2系統1205号。 |
辛島町交差点で待機する9704号。対岸の黄←と+の信号灯器は一体化されている。 | 西辛島町から慶徳校方を望む。8800型101号の少し手前の架線上に滅灯用コンタクタが見える。 |
大江車庫入庫線付近の信号機配置がわかる。本線逆行信号機の裏側には交通信号機と一体化された順行信号機,入庫信号機の裏は出庫信号機が設置されている。 | 入庫して来る車体更新車8504号。方向を検知するだけならコンタクタは2連で十分と思えるが,④の位置には何故か4連で設置されている。 |
入庫線のフェンス右側の切欠きに見える配電函の中には,この分岐点の継電連動盤が収容されている。(5/23/2004) | 主力が上熊本へ移転して寂しくなった大江車庫であるが,年前の冬の午後には派手な塗装の連接車が昼寝しており,上屋付きの出庫電車専用の乗り場もあった。 |
[補遺]伊予鉄道松山市内線の場合同様のシステムを採用している松山市内線の場合,信号システムの構成はかなり異なる。3箇所ある分岐交差点のうち,上一万を例として解説する。 | |
①の「電車用信号」は単なる白色灯で常時点灯であるが,電車が1個目のコンタクタを叩くと滅灯する。城北線へ左折する電車は,そのまま2個目のコンタクタを叩き停留場へ進入する。①は再度点灯し,③の進路確認信号の左←が点灯する。道後温泉へ右折する電車の場合,1個目のコンタクタを叩いて,安全地帯に設置された②の信号灯が点灯するまで待機する。停留場に進入すると,①が点灯,②が滅灯し,③の右→が点灯する。 | 車両感知をトロリーコンタクタで行う路線の場合,電気運転でない車両の扱いに困るが,「坊ちゃん列車」とて例外ではない。伊予鉄道14号機関車はディーゼル動力だが,交差点ごとに客車からビューゲル状の竿を上げて,トロリーコンタクタを作動させねばならず,いささか興醒めと言える。(上一万,8/8/2004) |
広島電鉄の場合 (別サイト):連接車が2丁パンタ,かつ進行方向側だけを上げるのは,トロリーコンタクタを作動させるため 土佐電鉄の場合 |